- あく
- I
あく【幄】⇒ 幄(アク)の屋IIあく【悪】※一※ (名)(1)わるいこと。 否定すべき物事。 道徳・法律などに背く行動や考え。⇔ 善「近代社会が内包する~」「~の道に走る」「~の限りを尽くす」(2)演劇で, 敵役。 悪役。(3)〔近世語〕悪口。 悪態。
「よく~をいひなんす。 ちつとだまんなんし/洒落本・妓娼精子」
※二※ (接頭)名詞に付いて, 畏敬の念を抱かせるほど荒々しく強い意を表す。「~七兵衛」「~源太」
~に強きは善(ゼン)にも強し大きな悪事をできる者は, 改心すれば大きな善事もできるものだ。IIIあく【灰汁】(1)灰を水に溶かして, うわ澄みをすくった汁。 炭酸・アルカリなどを含み, 媒染剤・絹の精練・漂白などに用いる。(2)食品中に含まれる, 渋み・にがみ・えぐみ・不快臭など, 不要で好ましくない成分の総称。「筍(タケノコ)の~を抜く」「スープの~を取る」
(3)(普通, 仮名で書く)人の性質・言動や表現などに感じられる, しつこさ・しぶとさ・どぎつさなど。「~の強い文章」
~が抜・ける人の性質や容姿に, いやみやあくどさがなくなる。 洗練される。IVあく【開く・空く・明く】※一※ (動カ五[四])※一※(自動詞)(1)出入り口や容器の口などを閉ざしていた物が動いて, 人や物の通り道ができる。 ひらく。 《開》⇔ しまる⇔ とじる「ドアが~・く」「ふたが固くて~・かない」(2)戸にかけられていた錠がはずれる。「いくらやってもかぎが~・かない」
(3)商店の営業や興業が始まる。 ひらく。 《開》⇔ しまる⇔ とじる「デパートは朝一〇時に~・く」「初日が~・く」(4)中身が消費されて容器がからになる。 《空》⇔ みたす「グラスが~・く」(5)部屋・建物・土地・座席などを占めていた人や物がなくなり, 空間や余地ができる。 《空・明》「この会議室は三時まで~・かない」「この部屋は三月末には~・きます」「混んでいて~・いた席が見つからない」(6)穴・空間・間隔などが生ずる。 《空・明》「道路に穴が~・いた」「電車とホームの間が広く~・いている」「間隔が~・かないように並ぶこと」「行間が~・き過ぎている」(7)欠員が生ずる。 《空・明》「教授のポストが~・く」(8)使用中だった物が, 用が済んで使われなくなる。 《空・明》「その電卓, ~・いたら貸して下さい」(9)仕事が終わってひまになる。 手がすく。 《空・明》「私は今日は夕方五時に体が~・きます」「手の~・いている人は手伝ってください」(10)ある状態の期間が終わって, 別の状態に移る。「喪(モ)が~・く」「今日は私の年季(ネン)が~・きまするか/うつせみ(一葉)」
〔▽(4)~(9) ⇔ ふさがる〕※二※(他動詞)(自分の目や口を)あける。 ひらく。「口を~・く」
※二※ (動カ下二)⇒ あける︱慣用︱ 穴が~・手が~・蓋(フタ)が~・幕が~・埒(ラチ)が~開いた口が塞(フサ)がらぬあきれ返ってものが言えない。開いた口へ餅(モチ)思いがけない幸運が訪れることのたとえ。 棚からぼたもち。Vあく【飽く・厭く】(1)同じ状態が続いて, もうたくさんだという気持ちになる。「~・くまで食べる/ヘボン」
(2)満足する。 満喫する。「月夜~・きてむ馬しまし止め/万葉 4206」
(3)動詞の連用形の下に付いて, 十分に…する, の意を表す。「キキ~・イタ/日葡」
→ あかず→ あくなき
Japanese explanatory dictionaries. 2013.